プロの眼から見た 美しいリング  パール&ローズカットダイヤモンド エドワーディアンリング

パール&ローズカットダイヤモンド エドワーディアンリング この作品は、皆様にご覧頂いている画像の印象よりも、遥かに繊細で透明感に溢れ、独創的なデザインで、そして頑丈に作られています。
残念ながらどれをとっても画像では正確に表現できていません。
(写真に撮るとやたらとプラチナ部分が目立ってしまいます)
繊細で透明感に溢れるとは、プラチナ細工の極みと言っていい細かな細工が正確にされており、肉眼では判別 できないほどの小さなミルグレービングが、枠の縁取りに綺麗に打たれているのです。
メレダイヤモンドがセッティングできない先端部分には、プラチナの極小の粒が置かれ、リングの表面 上に手が入っていないところはまったくありません。
そして良質の美しく輝く、形も大きさもカットも違うローズカットダイヤモンドが、リングの表面 全体に綺麗に爪留めされているのです。
独創的なデザインとは、全体のシェープがアール・ヌーボーの影響を感じさせる、左右非対称な曲線を取り入れたフォルムに、草花を模ったデザインのことです。
良く見るとこの小さな世界の中で、葉の反り返りが微妙に表現されているのです。
ほんの僅かな1mmに満たない計算された立体表現と、その正確な仕上げには驚くばかりです。
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裏側の画像を見てください。この複雑に組み合わされた大小さまざまな、形状もばらばらな細かい間仕切りは、表面 にセッティングされたダイヤモンドと同じだけの数があるのです。
これは極限まで薄くされたプラチナを支える為に、表面から見えない裏側を強化し、リング全体を耐久性のあるものにする為に作られた物なのです。
そして、お気付きのように裏面と側面はゴールドで作られています。
側面のゴールド部分に手彫りの模様が刻まれています。
驚くことに、この模様の一番底辺の切り込んだラインの内側に 、ミルグレービングがされています。
こんな所にミルが打たれているのは見た事がありません。 何ということでしょうか!!
今となっては、リング全体にこれほどまでに手を掛ける職人の執念は凄まじいと思うのですが、この時代は当たり前のようにやっていたことなのですね。
20世紀初めの25年間余りは、プラチナを使った素晴らしい作品が作られたのですが、この作品のようにここまで手が入ったジュエリーは、第一次世界大戦を境に姿を消していってしまったのです。


リング 1905〜10年頃  フランス コンチネンタル
2005.01.09 kuroiwa